情報商材の詐欺もれっきとした犯罪行為ですので、本来は警察の出番です。
犯罪行為を犯した人間に対して、捜査~逮捕を行う権限が警察には存在します。
また、後述のとおり、情報商材詐欺で詐欺師が逮捕された事例も存在します。
管轄地域の警察署に、刑事告訴を行うべき

全国各地に警察署は存在しますが、最寄りの住所地を管轄する警察署は必ずあります。そして、告訴状という書類を作成し、刑事告訴を行って下さい。
刑事告訴とは、もうご存知だと思います。犯罪被害者が「犯罪加害者の刑事罰を求めて犯罪事実を申告する行為」のことです。
告訴状とは別に被害届もありますが、被害届を当サイトはオススメしません。理由は、被害届は受け取っても警察が捜査を行う義務は無いからです。
意外と知られていませんが、これはまぎれも無い事実です。
反対に、告訴状は被害届と違います。
告訴状を受理をした場合、警察は必ず犯罪事実などを捜査し、事件を必ず検察庁まで送り届ける義務を負います。これは、刑事訴訟法上でも、しっかりと明記されています。
刑事訴訟法第242条 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。 引用元⇒Wikibooks |
だからこそ、告訴状による刑事告訴に拘って下さいと、当サイトは御伝えするのです。
ただし、告訴状は告訴人や被告訴人の他にも、刑法上の犯罪構成要件などをしっかりと明記しているものでないと、受理されません。
それなので可能な限り、刑事告訴などを熟知された弁護士や行政書士の方に、3万円~5万円程度で、告訴状の作成を依頼したほうが良いと思います。
警察を動かす目的は処罰・断罪
詐欺罪で刑事告訴を行う場合、警察は犯罪事実(犯罪者)の捜査~逮捕を目的に活動します。
そして、被害金の奪取・損害賠償は、考えてはくれません。
刑法における詐欺罪を適用させて詐欺師を裁くということであれば、被害金の返金というものは基本的に度外視されるからです。
刑事裁判は民事裁判とは違いますので、この点はすぐにお分かりだと思います。
もし被害金を取り戻すことが先決であるならば、まずは警察ではなく詐欺師の口座凍結手続きや決済代行会社~クレジットカード会社への返金要請をかけた方が無難です。
情報商材も対象。逮捕者も出ている

よく言われているウソとして、情報商材詐欺では、警察は動いてくれないというウソがあります。
インターネット経由で、1人当たりの被害金額が小さいから、警察も真剣に捜査をしてくれないという方がいらっしゃいますが、結論から申しますと、そんなことは全くありません。
情報商材の詐欺も証拠が十分あり、犯罪構成要件に該当する詐欺だと警察に認定させることができれば、1人であっても警察が動いてくれる可能性は十分にあります。
また、過去に情報商材詐欺を行い、逮捕された事例もありますので、警察も民事を越えた詐欺事件であるという認識を持っていることも、少なくありません。
逮捕事例
神谷隆介 「簡単ネットウォッチング」

2019年2月ごろに、東京都千代田区に存在した、株式会社TURKS(タークス)の神谷隆介氏と、その関係者ら9名が、詐欺罪および特定商取引法違反の疑いで、愛知県警に逮捕された事件です。
インターネット上で
「ネットサーフィンをするだけで、簡単にお金が稼げる!1ヵ月間で最低300万円が稼げるノウハウ!
簡単ネットウォッチング!!」
などという広告宣伝を行い、詐欺商材を販売していた事例です。被害総額は8億円前後と、甚大な被害を与えた悪質な詐欺でした。
販売価格自体は1万円程度でしたが、その後に高額なバックエンドセールスがあったので、これにより被害規模はとてつもないものになったのです。

実際には単なる転売(せどり)の情報商材だったようで、全くと言っていいほど稼ぐことはできず、セールスレターに記載されていた成功者の実績なども全てが虚偽架空であり、最終的に逮捕に至った事例です。
このように、すでに近年ですらも情報商材詐欺で、逮捕者は出ています。
警察関係者らも、情報商材=特殊詐欺だという認識をお持ちの方も、現在は決して少なくありません。ですので、情報商材詐欺だから警察が動かないということは、ウソだということです。
重要なのは、犯罪構成要件と証拠
警察が詐欺事件として動くかどうかは、犯罪構成要件を満たす犯罪(詐欺)に該当するかどうか、ということです。
つまり、以下の4つの犯罪構成要件があり、なおかつ証拠なども十分揃っていて立件できると判断すれば、大部分の場合は警察も動いて下さるということです。
1 欺罔行為
2 錯誤
3 財産の処分行為(交付転移)
4 因果関係
嘘(欺罔行為)を、詐欺師が行った ↓ 被害者が勘違い(錯誤)した ↓ 被害者が、詐欺師にお金を振り込んでしまった(財産の処分行為) ※ここまで全てに原因と結果が存在すれば、詐欺罪は成立します |
シロアリは駆除しないと、被害は増え続ける一方

ちなみにですが、詐欺師を野放しにしているとどうなるかと言いますと、また同じような詐欺行為を平然とインターネット上で繰り返します。
ローンチ屋と呼ばれる情報商材詐欺師たちが、最たる例です。
「あなたを楽して稼がせます」などという情報商材を、次から次へと販売している人間が、無数に存在していたはずですので、説明は不要でしょう。
まさに害虫、シロアリとでも言えば良いのでしょうか。これが実態なのです。
詐欺は犯罪なので、犯罪被害者が声を上げなければなりません。詐欺師が心変わりし、改心する可能性は限りなく低いと言えます。
ですので、泣き寝入りをせずに、警察にも告訴相談などをされるべきです。
刑事告訴しても、民事裁判を起こさずにお金が取り返せる可能性もあります
ちなみにですが、刑事告訴後でも詐欺師が逮捕されれば、民事裁判を起こさずに、示談や和解でお金が取り戻せる可能性はあります。
詐欺師が逮捕後、検察庁から起訴処分をされるのを回避するために、自らすすんで
「お金を返すから、告訴を取消てほしい」
と、和解を求めてくることもあります。
それなので、民事裁判を起こさずとも、刑事事件の過程でお金を取り戻せる可能性があります。
また、刑事裁判に勝訴することで「被害回復給付金支給制度」という制度の対象にもなるので、これによりだまし取られたお金を取り返せる可能性もあります。
刑事裁判の目的は、民事裁判とは本来全く違いますが、それでも詐欺などの財産犯においては、詐欺師のお金を没収・凍結する権限が、検察庁にはあります。
これにより、刑事手続きを進めて裁判に勝訴後、お金を取り戻せる可能性もあります。
民事裁判などよりも、警察に対し刑事告訴を行って下さいと私が繰り返すのは、こうした背景があるからです。
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