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刑事訴訟法

刑事訴訟法第250条 詐欺罪の時効は

刑法上の詐欺罪の時効は、事件発生から7年間です。

これは、刑事訴訟法の第250条に明記されています。

刑事訴訟法第250条(公訴時効の期間)

1 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
前二号に掲げる罪以外の罪については10年

2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

死刑に当たる罪については25年
無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年

長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
拘留又は科料に当たる罪については1年

上記の黄色のマーカーにご注目下さい。15年未満の懲役または禁錮に当たる罪については7年とありますね?

刑法上の詐欺罪は10年以下の懲役刑が、最長です。それなので、公訴時効は7年間となるわけです。

それ以前に、時効とは

その前に、時効とは何かということについて、補足します。

時効とは刑事事件の上では、公訴時効(こうそじこう)と呼ばれます。

公訴時効とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかける為の手続きが出来る、制限期間のことです。

日本は起訴独占主義と言って、被疑者を刑事裁判にかける権限を、検察官だけに委ねています。

逆に言うならば、検察官が被疑者を起訴し無い限りは、罪を犯した人間に、社会的な刑罰などを与えることはできません。

つまり、公訴時効が終わる前に、検察が被疑者を起訴しないと、被疑者に刑事罰を与えることはできない、ということです。

検察庁の社会的な役割は非常に重要だということが、このことからも良く分かりますね。

刑事告訴にこだわるべき

また、加害者(被疑者)を起訴するためには、刑事告訴にこだわるべきです。

詐欺は親告罪ではありませんので、告訴が無ければ立件できない訳ではありません。

しかし、被害届(ひがいとどけ)は、受理をしても警察が犯罪の捜査を行う義務はありません。

これが致命的だと言えます。

しかし、一方で告訴状(刑事告訴)は違います。もし警察が受理した場合、犯罪事実を捜査し、調書と呼ばれる多くの書類を作成して、検察庁まで送致する義務が発生します。

これが決定的な違いです。

これは刑事訴訟法の第242条でも、明記されていますので、確かです。

刑事訴訟法 第242条

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

それなので、加害者への刑事罰を求めるならば、最良の方法は刑事告訴です。

公訴時効をむかえる前に告訴状を作成

最寄りの警察署で、刑事告訴

受理されれば、事件が検察庁まで送致される

検察庁が起訴・または不起訴の判断を下す

おおよそ、上記の流れになります。

告訴状は、専門家に依頼して作成した方が無難

ちなみにですが、告訴状は行政書士または弁護士の方に作成依頼する方法があります。

平均的に3万円~5万円ほどの費用は発生しますが、受理させたいならば、割り切ってしまっても良いと思います。

と申しますのも、刑法上の犯罪で被疑者を起訴し、有罪にするためには、以下の3条件全てを満たしている必要があります。

1 犯罪構成要件に該当すること
2 違法性が存在すること
3 責任能力があること

そして、1番目の部分にご注目下さい。

犯罪構成要件に該当することとありますが、これは、専門家でないと難しい場合が少なくありません。

詐欺罪では、

欺罔行為

錯誤

財産の処分行為

因果関係

この4つが犯罪構成要件です。

しかし、これらをどのように告訴状に書いてゆけば良いかということは、法的な知識に乏しい一般市民では、困難だと言わざるを得ません。

それなので、警察と検察を動かす確率をアップさせるためにも、可能な限り専門家に作成を依頼したほうが良いと思います。

ただし、構成要件を満たした告訴状などを自分で作れるという方は、不要だと思います。

まとめ

時効についてまとめますと、以下の通りです。

詐欺罪の公訴時効は、事件発生から7年間
被害届よりも、刑事告訴(告訴状)にこだわったほうが、起訴できる確率は上昇する(ただし、保証は無いです)
告訴状は、弁護士や行政書士に依頼すれば、3万円~5万円ほどで、作成依頼が可能

詐欺師をのさばらせないためにも、まずは被害者自身が行動を起こしましょう。

事件発生から7年以内に行動しなければなりませんので、早期に行動したほうが、絶対に賢明だと断言できます。

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刑事訴訟法第260条 起訴・不起訴の結果も連絡しなければならない

刑事告訴(または刑事告発)は、受理した後は検察官は、最後には、

・起訴
・不起訴

この2つのうち、どちらかを選ばなければなりません。

そして、選択の結果を、告訴人などに通知する義務を負っています。これは、刑事訴訟法の第260条に書かれているのです。

刑事訴訟法 第260条
(告訴人等に対する事件処理の通知)

検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。

つまり、検察官も警察と同じく、告訴を受理すれば、こうした重要な決定を下さなければなりません。

その上で、起訴または不起訴処分の結果を、最終的に訴えを起こした人に通知する義務を負っているということです。

不起訴で終わることも、実は多い

しかし、悲しいことですが、検察庁が必ず、被疑者(加害者)を起訴してくれるとは限りません。

検察庁の不起訴率は、実は高いのです。

逮捕されたものであっても、半分は不起訴になっています。

また、逮捕されずに書類送検されたものは、何と7~8割が不起訴になっているという統計もあります。

驚くべきことですが、これほどまでに検察官の不起訴率は高いのです。下のグラフをご覧頂ければ、分かります。

(引用元⇒犯罪白書平成29年度

左のグラフにご注目下されば、分かります。

オレンジ色の文字で、起訴率が書かれていますね?

何と、10年近く、ずっと同じような数字なのです。

そして、37%程度なのです。つまり、刑事裁判にかけられなかった被疑者が、60%程度存在する、ということです。

悲しいことですが、これが実態なのです。

もし警察が被疑者を逮捕しても、加害者が刑事裁判にかけられる保証は無いということです。

むしろ、検察官に不起訴処分にされる事例も非常に多いのです。

告訴・告発をもし行うのであれば、これは覚えておかなければならない事実だと言えます。

しかし、もし起訴された場合は、99%以上の確率で、有罪判決で終わるのが、日本の刑事裁判です。

これもまた事実です。

結果は必ず通知される

また、どちらにせよ、連絡は必ずされます。

これは、前述のとおり刑事訴訟法第260条に、書かれているからです。

それなので、検察官は起訴にせよ不起訴にせよ、必ず訴えを起こした人物に、結果を通知しなければなりません。

もし連絡が来なかった場合、それは刑事訴訟法に違反する行為です。

警察と検察を何とか動かして、詐欺師を刑事裁判に送りましょう。

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刑事訴訟法第241条 告訴・告発は誰にすれば良いか

刑事告訴または刑事告発は、司法警察員である警察官、または検察官に申し出ることになっています。

これは、刑事訴訟法の第241条に明記されています。

刑事訴訟法 第241条

1 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

それなので、警察または検察に対し、行うことになります。

※交番では受け付けて下さいません。必ず警察署に、刑事告訴などを行いましょう

基本的に、警察に対して行うのが無難

刑事告訴(告発含む)は、警察で行うほうが良いです。

と申しますのも、検察庁に対して告訴状などを提出しても、結局は不起訴で終わったり、不受理で終わってしまうことが少なくありません。

これは、検察官の人数が少なすぎる為です。

実は、検察はまともな捜査能力を殆ど持っていません。

警察官の職員数が日本国内には、25万~30万人前後存在します。

それに対し、検察官の数は、全国で3000名にも満たないのです。つまり、警察の100分の1程度の人数しかいないということです。

警察の人数・・・25万~30万人程度
検察・・・3000名以下

圧倒的に、職員の数が違い過ぎるのです。

ですので、受理はされたものの満足な捜査ができないので、結局は嫌疑不十分などで、不起訴処分にするしか無いのです。

警察と検察は、同じ捜査機関ですが、実質的には犯罪行為・犯罪者の捜査や逮捕は、警察が殆どを行うことになります。

それなので、告訴相談などは、警察に対して行いましょう。

私も一度、東京地検に詐欺事件の刑事告発を申し入れましたが、その対応は、酷いものでした。

3週間近くたってから、告発状が送り返されてきただけでした。

そして、内容は、いつものパターンです。

「具体的な犯罪事実が、特定されていませんでした。

証拠とともに、犯罪事実を明記して下さい。」

犯罪構成要件に該当する犯罪事実を、証拠と共に添付して提出しても、この有様です。

以下、証拠画像もありますので、お見せします。

東京の地方検察庁は、この程度の手抜き仕事しかできない連中なので、思い出すだけでも腹立たしい限りなので、この辺にします。

いずれにせよ、検察庁に送付しても、このように送り返される可能性が極めて高いので、最初から警察に提出しましょう。

平日の昼間にこそ、警察署に

また、別記事でも書きましたが、刑事告訴は平日の昼間に行うことが望ましいと言えます。

警察署は、実は時間と曜日で、職員の数が変化してしまいます。

そして、平日の昼間(土日、祝日ではない日の17時まで)の職員は、平常通り沢山います。

しかし、平日昼間ではない時間帯や曜日では、職員の数は10分の1程度しか存在しません。

平日昼間では50人の警察官がいる警察署も、夜間や土日などでは、10人程度の人数になってしまう、ということです。

告訴相談を行うのであれば、このように、対応できる警察官の数が多い時間帯や曜日を考えたほうが、無難です。

そうでないと、まともに対応すらしてくれない可能性も、十分にあるからです。

警察に出すこと、平日昼間に告訴相談は行うこと

まとめますと、重要なのは以下の通りです。

・刑事告訴は、警察にすればよい(検察は、まともに対応してくれないことが多いので、オススメできない)

・告訴は、交番では受け付けてくれない。必ず警察署にて行うこと(交番は告訴相談を処理できる機能が無い為)

・平日の昼間に、刑事告訴は行うべき。土日や夜間は、警察の数が圧倒的に減ってしまう

上記の3点に注意して、刑事告訴(告発も同じ)は行って下さい。

そうすれば、受理される確率は、少しでも上昇すると思います。

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刑事訴訟法第239条 「告発」は告訴と違う

「刑事告訴」と、「刑事告発」は違います。

告訴は、告訴権を持った人が行う、処罰の申し入れです。

しかし、告訴権を持たない人物が行う処罰の申し入れは、告発と呼ばれます。

刑事告発は、刑事訴訟法の第239条で規定されています。

刑事訴訟法 第239条 (告発)

1 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

紛らわしいかもしれませんが、これは重要なことなので、同じに扱わないように注意して下さい。

告訴権者が行うものが刑事告訴。それ以外は、刑事告発

まず、刑事告訴の定義について解説します。

刑事告訴は、告訴権者が、司法警察員または検察官に対し、犯罪事実と加害者への刑事罰を申し入れる意思表示のことです。

そして、告訴権を持つ人は、以下の通りです。

告訴権を持つ人の条件

(どれか1つでも当てはまっていれば良い)

・犯罪被害を被った人

・被害者の法定代理人となれる人

・被害者が死亡した犯罪では、存命の親族

ここまで、よろしいでしょうか。告訴権者の大部分は、犯罪被害を被った人物です。

しかし、それでは、犯罪が発生しても自分が被害を受けていなければ、犯罪事実と加害者への処罰を申し入れることはできないのでしょうか?

実は、そんなことはありません。

もし親告罪でない犯罪行為であれば、被害を被っていない人であっても、加害者への刑事罰を申し入れることは可能です。

※親告罪とは、犯罪被害者が申告しなければ、加害者を起訴することができない犯罪のことです

これこそが、刑事告発です。

犯罪の直接被害を被っておらず、また、犯人でもない第三者が警察または検察に対し、事実と刑事罰を求める申告のことです。

刑事訴訟法第239条の1項に明記されているとおりで、誰でも犯罪があると思料するときは、これを告発することが可能です。

また、刑法上の詐欺罪は親告罪ではありません。

それなので、犯罪被害を受けていない人物であっても、事実を申告し、処罰申し入れをすることは可能です。

ただし、受理される可能性は低い

ただし、注意点としましては、刑事告発は受理される可能性は低いということです。

理由はいくつかありますが、最も大きな理由としましては、犯罪被害を直接受けていないということです。

犯罪被害を直接受けた人物が行う刑事告訴であれば、犯罪被害の全体を全て知っていますので、捜査機関も真剣に取り合って下さることが少なくありません。

しかし、刑事告発は、事件の当事者ではない第三者の、「また聞き」に近い申告です。

警察&検察も、もし被害者ではない人物の申告を信じて、その結果、無実の人を逮捕⇒起訴したりしてしまえば、社会的な信頼の低下につながります。

刑事裁判の原則は、

疑わしきは罰せず、被告人の利益とすること

です。

それなので、被害を被っていない人物の刑事告発を、警察などが真剣に取り扱って下さる可能性は、低いと言わざるを得ません。

逆に、直接の被害者が刑事告訴を行う場合であれば、告発よりも受理される確率は、確実に高まると言えます。

事件の実態を全部知っていますからね。

私も以前に情報商材の詐欺の刑事告発を行いました。しかし、警視庁の管轄の警察署では、受理して下さいませんでした。

というより、面倒なので、まともに対応してなどいられないという形で終わっただけでした。

東京地検に至っては、論外です。これは、別の記事でも解説しています。

(※全ての警察署が、このような対応をしていた訳ではありません。告発であっても、真剣にご対応して下さった警察署も存在します)

犯罪構成要件を満たしていて、なおかつ証拠資料なども十分に添付したにも関わらず、不受理だったのです。

そして、結局はどうなったかと言いますと、

「直接の被害者に、最寄りの警察署で告訴をさせて下さい」

と言われて、終わりました。

それなので、告訴と告発では、信ぴょう性などの観点から、受理される確率がどうしても変わってきてしまいます。

告訴のほうが、告発よりも、受理される可能性は高まるというのが、悲しいですが現実です。

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刑事訴訟法第237条 告訴の取消し

刑事訴訟法にもとづく刑事告訴は、取消(とりけ)すことが可能です。

これは、刑事訴訟法の第237条に明記されています。

ただし、注意点としては、告訴を取り消した場合、再度告訴をすることはできません。

それなので、加害者への処罰断罪を最優先したいのであれば、絶対に告訴は取消してはならないといえます。

検察官が公訴提起をするまで取り消せる

刑事訴訟法の第237条では、このように明記されています。

刑事訴訟法 第237条(告訴の取消し)

1 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。


2 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。


3 前2項の規定は、請求を待って受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。

上記の、1項目の部分にあります。

公訴の提起があるまで、取り消せると書かれていますね。

これは、検察官が、正式に被疑者(犯人)を起訴する手続きを行うまでは、取り消せると言う意味です。

しかし、注意点も当然あります。黄色のマーカーをしていますので、分かりますね。

「告訴の取消をした者は、再度告訴をすることができない」

という部分です。

取消をしてしまうと、被疑者を刑事裁判にかけることは、永久にできなくなるということです。

これは、刑事告訴の本質を考えれば分かります。

告訴は、警察と検察という、極めて重要な国家機関が、関与するからです。

捜査機関の職務執行と、公益の保護

まず、刑事告訴を警察が受理すると、警察は犯罪事実を捜査し、事件を必ず検察庁まで送致する義務が発生します。

これは、刑事訴訟法の第242条に明記されています。

刑事訴訟法 第242条

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

このように、明記されています。

そして、検察官も、犯罪事実を補充で捜査しなければなりません。

その後、嫌疑が十分あり、違法性もあると判断すれば、公判請求(被疑者を刑事裁判にかける手続き)をしなければなりません。

そして、警察と検察は、国家機関です。

つまり、国民から徴収した貴重な税金で活動している組織だということです。

もし一般市民の気まぐれなどで、告訴を何度も取消したり、何度も繰り返し告訴できるようにしてしまえば、どうなるでしょうか?

そのたびに、警察と検察は、多大な犯罪の捜査や調書作成などの業務に追われてしまいます。

そうなると、その他の重大な職務にも悪影響が出るのは、必然と言えます。

警察と検察も、対応可能な人員もお金も限られていますからね。重大な事件などで活動している警察署も数多くあります。

それなので、市民の気まぐれなどで、警察や検察の職務が妨害されることを防ぐために、告訴を取り消せるのは1度だけと決められている、ということです。

お金と引き換えに、告訴を取り消すのは、賢い方法

なお、刑事告訴を取り消す最良のタイミングは、詐欺事件ならば、

詐欺師(加害者)が起訴されることを恐れて、和解を申し出てきたとき

です。

情報商材などの詐欺も、2019年になってからは、逮捕者も出ています。警察も、もう情報商材詐欺を、特殊詐欺だと認定していることも、多いのです。

それなので、詐欺師が逮捕される可能性も十分にあると言えます。

逮捕されれば、詐欺師は刑事裁判にかけられたくないので、当然ながら、被害者に示談・和解を持ち掛けてきます。

この時が最良のタイミングです。

お金と引き換えに、刑事告訴を取下げれば良いのです。

再度、刑事告訴をすることはできなくなってしまいます。しかし、大切なお金を奪い返すことは可能です。

確実に起訴できる保証が無いのが、現実

検察庁の不起訴率は、実は高いのです。逮捕されたものであっても、5割(ほぼ半分)は不起訴で終わっているというデータも、あります。(犯罪白書などの統計に基づく)

また、逮捕されず、書類送検されたものに至っては、何と7割~8割ほどの被疑者は、不起訴というのが現実です。

つまり、仮にもし、詐欺師を逮捕できたとしても、刑事裁判にかけられる保証は皆無だということです。

それならば、考え方を変えてしまうのも一法だということです。

詐欺師を刑事裁判にかけることよりも、被害金を何とか取り戻すことに焦点を当てた方が、実利実益は伴います。

詐欺師に刑事罰を与えることに拘りがなければ、お金を取り戻して、終結させることも賢い方法だと言えます。

まとめ

ポイントをまとめますと、以下の通りです。

告訴は、検察官の公訴提起(起訴)があるまで、取り消すことは可能
ただし、一度でも取り消すと、もう一度同一の事件で告訴はできない
示談や和解の段階で、お金と引き換えに告訴を取り消すことは、十分に賢い方法。起訴できる保証は無いので、こちらを優先してしまったほうが、無難

告訴を取り消すかどうかは、告訴権者の意思1つです。しかし、刑事告訴を取り消すのであれば、くれぐれも慎重に決定して下さい。

再度、告訴をすることはできませんからね。

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刑事訴訟法第242条 捜査義務が発生するのが、刑事告訴

刑事告訴は、もし警察官が受理した場合、警察は必ず犯罪事実などを捜査しなければなりません。

これは、刑事訴訟法の第242条に明記されています。

刑事訴訟法 第242条

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

この部分が、被害届とは決定的に違います。言い換えるならば、告訴状(または告発状)の凄いところです。

受理すると、警察と検察が、絶対に動いてくれる

告訴状(または告発状)は、前述のとおり、受理した場合は必ず警察と検察が動く職務上の義務が発生します。

具体的には、以下のような流れになります。

1 告訴人(被害者など)からの、事情聴取

2 証拠物などの収集

3 被疑者(犯人だと思われる人物)への、取り調べ

※この時点で警察が、被疑者を逮捕することもあります

4 供述調書などの書類を作成し、それらを証拠と共に検察庁まで送致

5 検察官も、補充で捜査を行う

6 犯罪嫌疑が十分あり、公訴時効をむかえていなければ、起訴(公判請求)

7 刑事裁判

おおよそ、上記のような流れになります。

断言できることは、刑事告訴は受理さえさせることができれば、

・警察
・検察

この2つの国家機関を絶対に動かせるということです。

それなので、凄い力があると言えます。

ただし、受理されづらいのも事実


しかしながら、刑事告訴のための告訴状などは、受理されづらい傾向にあります。

受理さえさせれば、警察は絶対の捜査義務を負います。

しかし、逆に言うと、警察官も仕事が増えることになってしまいますので、受理をしたがらないのも事実なのです。

悲しいことですが、これが現実です。

前述のとおりですが、告訴告発を受理してしまうと、警察も検察も、実に多くの仕事に追われてしまいます。

・調書と呼ばれる書類の作成

・証拠の収集

・被疑者への取り調べ

・検察は、起訴または不起訴の決定⇒通知

ざっと見ても、上記のような仕事を、警察や検察は行わなければなりません。

また、逮捕のこともあります。

上記の捜査段階で、犯人の可能性が高く、逃亡の恐れがあると判断すれば、警察が裁判所に逮捕状を請求して、逮捕することもあります。

厳密には、被疑者が逃亡や罪証隠滅(証拠を消したりする)の可能性があると判断した場合に、捜査官が行うものです。

殆どの場合は、警察官が行います。

警察も忙しすぎて対応できないことも多い

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また、告訴が受理されづらい一因として、警察の多忙さにあります。

警察も、告訴相談だけを業務としているわけではありません。パトロールなどの日常業務も、存在します。

また、交通違反などの取り締まりや、未解決の事件などの捜査もあります。

また、それ以外でも110番(緊急通報)などがあれば、休日も関係なく出動しなければならないことも、多々あります。

そうした忙しいことが多い中で、告訴相談などを受理して、捜査を行っていられないということも、悲しいですが現実として存在します。

それなので、慢性的に告訴状などを不当に受理しない警察署なども、少なくありません。

特に、大都市部の警察(東京や神奈川県・大阪)は、こうした不当な告訴の不受理が常態化していると言えます。

それでも、告訴をするべき

ただし、それでも刑事告訴は行うべきです。

理由は、刑事告訴・告発は、正当な理由がなければ本来、警察と検察は必ず受理しなければならないからです。

これは、1981年5月20日(昭和56年)の東京高等裁判所の判決で、結果が出ているからです。

「公訴時効をむかえたもの、構成要件に該当しないもの、犯罪事実が特定されていないものを除いて、警察・検察の捜査官は、告訴・告発を受理する義務を負う」

昭和56年5月20日(東京高裁の判決結果)

こういった判決が、過去に出されています。

それなので、告訴告発は本来、正当な理由がなければ警察らは、必ず受理しなければならないのです。

受理しなければ、告訴権者の権利行使の妨害に当たるので、
公務員職権乱用罪(刑法第193条)
に該当する犯罪になってしまいます。

警察官や検察官が、犯罪加害者になるとも言えます。

それなので、告訴・告発は、受理されない場合は徹底して理由を突き詰めて下さい。

・正当な理由が無ければ、受理しなければならない
・受理すれば、絶対の捜査義務を負う

この2点がありますので、告訴を何としてでも成功させて頂ければと思うばかりです。

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刑事訴訟法第230条~231条 告訴をできる人物は誰か

刑事告訴をできる人物のことを、告訴権者(こくそけんしゃ)と呼びます。告訴権を持っていない人は、刑事告訴を行うことは、できません。

そして、この告訴権者は基本的に、犯罪被害を被った人物になります。

また、後述しますが、以下の人物も、告訴権者になることができます。

・法定代理人となれる人物
・死亡している場合は、被害者の親族

直接の被害者が、最有力の告訴権者

上記の図で、簡単にお分かり頂けると思いますが、犯罪の被害を直接被った方は、告訴を行うことができます。

これは、刑事訴訟法の第230条に明記されています。

刑事訴訟法第230条

犯罪により害を被った者は告訴をすることができる。


引用元⇒ウィキブックス

情報商材詐欺で例えます。

詐欺商材を販売していた人間が、被疑者(加害者)です。つまり、犯人ですね。

そして、犯人に騙されて、お金を振り込んでしまった購入者が、被害者です。直接、お金をだまし取られてしまったのですから、これは簡単だと思います。

その他、刑法上の犯罪は数多く存在しますが、共通していることは、

犯罪の被害を受けた人物は、告訴権者になれる

ということです。

法定代理人も告訴権者になれる

また、直接の犯罪被害を被っていない場合であっても、告訴権者になれる場合もあります。

たとえば、被害者が未成年者であった場合です。この場合は、親権者にあたる人物が、法定代理人となれますので、刑事告訴を行うことができます。

その他、障害や疾患などにより、生活に必要な判断力などを欠いている人物が被害者の場合は、成年後見人(せいねんこうけんにん)となる資格を持った人物も、告訴権者になれます。

これは、刑事訴訟法の第231条1項に明記されています。

刑事訴訟法第231条 1項

1 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

つまり、被害者がまだ法律上は大人(成人)とは言えない場合や、精神状態などにより正常な判断などができない場合には、その親権者や監督者が、告訴をすることができる、ということです。

被害者が死亡しているときは、親族らが告訴権者になれる

また、最初の方でも少し解説したとおりですが、被害者が死亡している犯罪などの場合は、直系の親族らも、告訴権者になることができます。

分かりやすく例えてみます。殺人事件が発生したと仮定します。

殺害された被害者は、もう物理的に、警察などに被害を報告し、告訴することなどはできません。

しかし、それでは刑事告訴を誰もできないのかというと、そんなことはありません。

もし被害者が死亡している場合は、生存している直系の親族らが告訴権者となり、刑事告訴を行うことができます。

これは、刑事訴訟法の第231条の2項に明記されています。

刑事訴訟法第231条 2項

被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

引用元⇒ウィキブックス

犯罪被害を受けていない場合であっても、告訴権者になれるということを、刑事訴訟法で明記しています。

それなので、死亡事件などに発展していれば、被害者の親族も告訴をできるということを、覚えておかれると良いと思います。

まとめ

このように、告訴権者には、複数種類存在しますが、まとめますと刑事告訴をできる人物というのは、以下の通りです。

1 犯罪の被害者(直接被害を受けた人物)

2 法定代理人となれる人(被害者が子供だった場合などは、親権者)

3 被害者が死亡している場合は、直系の親族

ちなみに、刑事告訴とは別に刑事告発というものがありますが、これは似ているようで少し違います。

刑事告発は、告訴権者以外の人物で、犯人ではない人が、処罰を申し入れることですので、告訴と告発は同じではありません。

この違いには、お気を付け下さい。