被害回復給付金支給制度とは 刑事裁判でも、お金が取り戻せる

「被害回復給付金支給制度」とは、詐欺などの財産犯が犯罪で得たお金を、検察庁が凍結・はく奪し、そのお金を被害者に分配・返還するという制度のことです。

これにより、実は刑事裁判でも勝訴後に、詐欺師からお金を取り戻せる可能性があります

刑事裁判でも、お金が取り返せる素晴らしい制度

裁判には2種類あり、民事裁判と刑事裁判では目的が全く違うということは、別の記事でも書き記しました。

民事裁判→相手がお金を返さないなどの、債務不履行などに対する賠償請求(金銭の獲得)

刑事裁判→刑法に抵触する犯罪行為を行った被告人に、刑事罰を科すことの適否を問うこと

上記のとおり、この2種類は全く目的が違います。

そして、刑事裁判では金銭のやりとり、つまり賠償請求は度外視されるというのが、過去の方針でした。

検察庁でも、詐欺などの犯罪をおかした被告人らの財産を没収することは、以前は禁じられていたのです、しかし、振り込め詐欺や投資詐欺などの悪質な財産犯が多発し続けた背景もあり、法改正されました。

その結果平成18年12月1日から、刑事裁判で検察庁が勝訴し、財産犯だと認定されたものについては、被告人らが犯罪で得た資金を犯罪被害財産とし、これを検察庁がはく奪できるようになったのです。

そして、この犯罪被害財産を被害者に分配するというのが、この被害回復給付金支給制度です。

刑事告訴および刑事裁判は、基本的に全くお金がかからないことを考えると、本当にこれは素晴らしい制度だと言えます(告訴状の作成費用などは除きます)。

無償で開始し、被害金を全額取り戻せる可能性があり、さらには詐欺師に対する刑事罰も与えることができるのです。

民事裁判ではここまでを実現することはできませんので、どれだけこの制度の存在が大きいかは、ご理解頂けると思います。

ただし、警察の不受理・検察の不起訴も多い

ここまで書くと、刑事告訴さえすれば、全てが上手くいくと思う方も多いかもしれませんが、実態は簡単ではありません。

まず第一に、告訴を警察が受理してくれないことも多いです。

警察も、東京や大阪などの警察組織は慢性的にパンク状態で、とても告訴相談などを受理できるだけの余裕が無いのが実情です。

それなので、不当に告訴状などを受理しない不受理問題が、存在します。

次に、検察庁の不起訴率の高さもあります。犯罪白書などの統計によれば、逮捕されたものでも約半分は不起訴で終わっているのが実情です。

また、逮捕されず書類送検で検察庁まで送られた事件については、7~8割が不起訴処分で終わってしまうのが、悲しいですが現実なのです。

つまり、告訴状が受理されて警察が動いても、検察が不受理にしてしまうことがとても多いので、この被害回復給付金支給制度は絶対成功するわけでは無いということです。

示談・和解にあっさりと応じるのも賢い方法

それなので、お金を取り戻すということだけが目的ならば、拘ることは無いかもしれません。

被害回復給付金支給制度の前の段階で、詐欺師から持ち掛けられた示談を受けてしまったほうが、お金を取り戻せる確率は格段に高まると言えます。

検察の不起訴率は高いですが、それでも起訴された事件は99%が有罪判決で終わるのも事実なので、詐欺師は絶対に起訴処分を回避しようと、躍起になってくるものです。

ここで、示談・和解に応じれば、被害者が苦労せずにお金を取り戻せることになるので、こちらを選ぶのも一法です。

ただし、例外もある

ただし、以下の場合は示談・和解の余地は無いので、和解する必要は全くありません。

・加害者が賠償に応じられるお金を使ってしまって、持っていない場合

・どうあっても加害者に刑事罰を与えなけれ気が済まない場合

詐欺師がお金を使ってしまい、もう持っていない場合は、被害者が賠償そのものを受けることが不可能です。

また、詐欺師が悪質極まりなく、どうあっても社会的な制裁を与えなければ気が済まない場合も、同様です。

これらの場合は、何よりも刑事裁判で勝訴し、詐欺師に懲役刑や前科などを与えることを目的にして下さい。

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