詐欺被害の解決手段として、民事裁判と刑事裁判の2種類が存在します。
どちらのほうが良いのかというと、結論から申します。刑事告訴~刑事裁判だけで十分です。
むしろ、民事裁判は、起こしてはならないとさえ、言えます。
これは、
・金銭的
・時間的
この2つの費用対効果が、民事裁判はあまりにも低すぎるからです。
勝ってもお金が取り戻せる保証が無い裁判=民事裁判
まず、民事裁判の目的は、賠償請求(相手に金銭の支払いを命じる権限の獲得)が目的です。
詐欺被害者が原告となり、民事裁判を起こしたと仮定します。
もし、裁判所が訴えを正当だと認めて、勝訴できれば、裁判所からの判決書を元に、詐欺師側の財産を差し押さえる権限などを獲得することは可能です。
これは、強制執行というものを使用することで可能です。
ただし、これには、致命的な欠点があります。
それは、相手にどれだけ財産があるかということは、原告(訴える側)が全て調べなければならないということです。
これは、まず個人が簡単にできるようなことではありません。
探偵社や詳しい法務関係者などに、依頼しなければなりません。
また、仮にもし、相手に銀行預金などの金融資産があったとします。
しかし、強制執行を行う前に、相手が預金を全部引き出して使ってしまったり、地下金庫などに財産を隠してしまったりすれば、差し押さえることはできなくなります。
出金して、銀行口座の残高を0にされれば、もうそれまでということです。
例外があるとすれば、詐欺師が不動産を持っている場合です。

詐欺師が転移させることが容易ではない不動産(土地や家屋)などを持っているならば、民事裁判を起こすことは検討しても良いと思います。
不動産ならば、売却~譲渡などを行うことは容易ではありませんし、隠すことも物理的に不可能だからです。
しかし、もし詐欺師が価値の有る不動産を持っている保証など無いというならば、民事裁判は止めるべきです。
勝訴したところで、何もお金を取り戻せる保証は無いからです。
お金と時間が、かかりすぎるのも致命的

また、民事裁判はまず、開始するためにも裁判費用や、郵便切手代金のほか、必要であれば弁護士費用などを負担しなければなりません。
言うまでも無く、これらは全て、原告(被害者)が負担するお金です。
更には、時間的な問題もあります。準備しなければならない書類が、非常に多いのです。
また、詐欺師が訴状(そじょう)という書類を受け取らないこともあります。
もし詐欺師が訴状を受け取らない場合、民事裁判は進行させることができないのです。それなので、悪質な詐欺師は意図的に訴状を受け取りません。
その場合は、送達と呼ばれる制度を使えば、裁判を進めること自体は可能です。
しかし、これも本当に面倒な手続きが多いのです。
そうして進めて勝訴したとしても、前述のとおり、詐欺師が財産隠しなどをしてしまえば、もう被害者は何の賠償も受けられず、終わるだけです。
お分かりですね?
民事裁判の致命的な欠点は、こうしていくつも存在します。だからこそ、絶対に止めた方が良いと御伝えしているのです。
刑事告訴~刑事裁判は、原則完全に無料

一方で、刑事告訴⇒刑事裁判は、お金は原則的に全くかかりません。
刑事裁判はご存知だと思いますが、日本では訴追機関である検察庁(国家公務員)だけが起こせる裁判なので、私人(検察以外の市民)は開始できません。
それなので、裁判費用を被害者が負担するという仕組みには、なっていないのです。
もし負担することがあるとしても、以下の2つが必要な位だと思います。恐らく、合計しても4万円~6万円位で済むはずです。
・告訴状の作成代金(弁護士や行政書士などに依頼する場合。自己作成するときは、無料)
はい、本当にこのくらいしか、思い浮かびません。
勿論、告訴状を不当に受理しない悪質な警察もありますので、必ずしも受理される保証はありません。
しかし、刑事告訴は、
1 告訴状を作成する
↓
2 警察署に提出
これだけで終わります。
告訴状の作成自体も、犯罪構成要件を理解している方であれば、作成することも容易で、時間はそれほどかかりません。
ですので民事裁判と比較すれば、開始できるまでの時間が圧倒的に短いことも、大きな利点です。
更には、刑事告訴が受理されれば、犯罪者の逮捕権を持つ警察と検察という、2つの国家機関を、必ず動かすことができます。
情報商材の詐欺師が2019年には逮捕者まで出ていることを考えれば、警察も情報商材詐欺を、特殊詐欺だと認知していると言えます。
だからこそ、お金と時間ばかりがかかる民事裁判ではなく、刑事告訴⇒刑事裁判に期待するべきなのです。
まとめ
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