不当利得とは、正当な理由(原因)なく第3者から金銭などの財物を受け取った利得のことを指します。
そして、不当利得によって得た(だまし取った)お金などを、被害者などの持ち主に返還する義務を不当利得者は負うというのが民法第703条の趣旨です。
これは詐欺においても例外ではありません。
民法第703条
不当利得の返還義務
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

もうお分かりだと思いますが、詐欺というのは明らかに消費者を欺いて正当な対価を提供することなく金品をだまし取る行為です。
よって、詐欺師は民法における不当利得を行ったことになります。
インターネットの取引などであっても、この不当利得というのは例外ではありません。
たとえば、オークションでもネットショップなどでも何でも構わないのですが、商品の購入者が
「商品購入から2ヶ月間の無条件返金を付けています!」
という広告を信じて商品を購入したとします。
しかしいざ購入して商品を事業者に返品し返金を申し出たにも関わらず、相手が一向に購入代金を返さない場合などは、当然ながら不当利得に該当します。
また、これは逆もしかりです。消費者が事業者から先に代金の返金を受けておきながら、いつまでたっても商品を送り返さないとなれば、販売者側から無料で商品だけ奪ったことになります。
よって、この場合であれば消費者側が不当利得により返還義務を負わなければなりません。
では、逆に不当利得に該当しないケースなどはあるのかと言えば、それは単純に正当な対価を事業者(販売者)などが提供している場合です。
この場合は当然ながら、
1 事業者は商品サービスなどを消費者に提供する
2 消費者はお金(財物)を対価として提供する
本来の正当な商取引が成立しておりますので、不当利得には該当しません。
また、情報商材であっても販売者側が正当な対価を提供しているということが明らかな場合であれば、不当利得にも該当しないこともあります。
商品やサービスなどが正当な価値の有るものだと第3者が客観的に見て明らかなものであれば、不当利得だという証明は困難です。ホームページ制作ソフトや、ワードプレスのテンプレートなどがよく存在しますが、あれは特に顕著です。
ただし、情報商材はその性質から購入するまで中身が見えないので、値段相応の価値が無いものや、再現性などが全く期待できないものも相当数存在します。

したがって、もし誇大広告や不実告知などに該当するようであれば、正当な価値を持たない商品やサービスを販売者が消費者に騙し売りしたことになります。
よって、この場合であれば高確率でこの不当利得による返還義務を詐欺商材の販売者に負わせることが可能となります。
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