過失相殺とは 民法詐欺の天敵

過失相殺とは、民事裁判において原告側(詐欺被害者)にも何らかの落ち度・原因があったと判断された場合に、損害賠償の金額が減らされる制度のことです。

これは民法の722条2項に存在します。

民法722条 

損害賠償の方法及び過失相殺

1 第417条損害賠償の方法の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

これは文字通り、被害者側にも何らかの過失があったと裁判所が判断した場合には、賠償請求の金額が減らされてしまう可能性を示しています。

情報商材詐欺でも可能性がある

詐欺事件においても、実はこの過失相殺は対象となる可能性は十分あります。

特に情報商材詐欺の場合、争点となるのは詐欺師が使用していた誇大広告などです。

勿論、誇大広告や事実と反して商品サービスなどを実際よりも優良に見せ、消費者を誤認させたりするようなことは禁止されています。

この点は疑う余地なく販売者(詐欺師)が絶対悪です。

ただ、問題となるのはそうした誇大広告などを信じ切ってしまった消費者側の責任なども、民事裁判においては問われる可能性もあるということです。

実際、過去に情報商材詐欺の民事裁判でこの過失相殺が適用された事例も存在します。

以下「ITビジネスジャーナル」から一部転載させて頂いております。

「FX常勝バイブル」事件(東京地裁平成20年10月16日判決)というものがあります。

中略

「バイブル」を販売したことにより不法行為責任があるとしました。
販売者を通じて多くの顧客を得ていたFX取引事業者については、慎重に検討した結果、やはり不法行為責任を認めました。その一方で、安易に「100%の勝率」を信じて取引を開始した原告には「大きな過失」があるとして5割の過失相殺をしました。

上記の場合であれば販売者側に明らかに不法行為による賠償責任があると認めている一方で、被害者にも過失があるという判決が下されています。

存在するはずが無いのに、安易安直に信じ切った消費者も愚かだったと思われたのでしょうね。

そして5割、つまり被害金額の半分が取り戻せなくなると言うなんとも酷な過失相殺が出ていますが、こうした結果も十分あり得るということです。

被害者も悪いという見方をされがちなのが実態

このことから分かる通り、裁判所や警察などの外野は

「詐欺師が悪いのは明白だが、被害者もどこかで悪い」

こうした思いを抱いている可能性が高いということです。

腹立たしくもなりますが、これが現実なのです。

民事裁判の現実的な有効性を考えて

上記の事例を見て頂ければ分かると思いますが、このように過失相殺が出てしまえば被害者にお金が全額返金されることは有り得ません。

10万円で詐欺商品を購入しても、過失相殺が3割ならば、7万円しか返金されないことになります。

そして、民事訴訟に要した印紙・郵券代金や証拠・書類の作成費用なども考えると、実質的には殆ど赤字だったということも少なくないでしょう。

むしろ、民事訴訟を起こしたりするお金や時間だけで、相当な損害(赤字)になってしまう可能性の方が遥かに高いと言えます。

そして、前述の東京地方裁判所の一例は失礼な言い方かもしれませんが、まだマシだったと言えます。

というのも、そもそも販売者側や関連業者がしっかりと不法行為の責任を認めており、賠償に応じる気があったからです。

しかし、民事訴訟を起こされようが救いようがない醜悪な詐欺師は、そもそも裁判所に出頭せず、損害賠償にも絶対に応じようとしません。

被害者の1人相撲で終わってしまうことになりかねないのが現実です。

この過失相殺が存在するということも、運営者が民事裁判を徹底してお勧めしない理由でもあります。

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