錯誤無効とは、両者(商取引においては販売者と購入者)の間に大きな認識のズレが生じ、望んだ結果が得られない場合に契約自体を無効にするという法律です。
必ずしも無効にできるわけではないことや、色々と複雑な解釈などがある場合で意見も分かれますが、詐欺に至っては難しく考えることはありません。
要するに、消費者側が本当に欲しいと思って求めていたものと、実際に提供された商品などが一致しない(錯誤した)状態であれば、契約は無効にできるということです。
民法95条 錯誤無効 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。 ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 |
詐欺事件においてもこの民法95条は有効です。
錯誤と言うと難しいかもしれませんが、要は双方の
・思い違い
・認識の食い違い
と言い換えれば分かりやすいかもしれません。
たとえば、広告を見て、あるパソコンを消費者が注文したとしましょう。
当然ながら、販売したメーカー(販売者)が存在します。
消費者側は、広告に表示されていたメモリ8GBのSSD512GBという性能を期待して買いました。
しかし、いざ手元に届いたパソコンの性能が、異なっていた場合はどうでしょうか?
実際はメモリが半分の4GBしかなく、SSDではなくHDDという仕様になっていれば、消費者としては望んだSSDでもないパソコンを騙し売りされたと思うはずです。
これこそが錯誤に該当します。

この場合、
・販売者側が広告をそもそもとして意図していたものと間違って出してしまった
・販売者や製造過程の都合上、生産工程にミスがあり、望んだ性能になっていなかった
こうした原因が考えられます。
しかしどのような原因であれ、消費者としてはせっかく期待していた性能を手にできないまま、望まない商品を騙し売りされたと感じてしまいますよね?
こうした場合、錯誤による無効を主張することが可能というわけです。
勿論、上記のような一例ではメーカー側(売り主)に悪意など全く存在しなかった可能性が極めて高い場合も少なくありません。
しかし、商品だって無料ではないのですから、お金だけ受け取って購入者側が求めていたものを提供しないということになれば、それだけの金銭的損害を買主に負わせてしまいます。
だからこそ、錯誤無効を適用するのです。
この場合は勿論売り主が顧客(買主)に対しての返金義務を負います。
まともな会社組織であれば、絶対に商品を交換するなどの良心的な対応をしてくれるものです。こうした場合は勿論消費者側も十分納得できると思います。

一方詐欺の場合は単純で、錯誤させて商品代金を受け取った人間らが返金に応じないというのが最大の特徴です。
相手が悪意を持って購入者を騙す目的でインチキ商品などを売りさばいているわけですからね。
販売ページの広告文と明らかに商品内容が異なるというのも、購入者が望んだ商品と一致しない商品を提供しているということですから、錯誤無効の対象範囲です。
しかし、詐欺師はこうした至極当然とも呼べる対応すらもしないのが殆どです。
メールなども無視したり、電話対応などそれこそ音信不通ということも珍しくありません。
錯誤無効における無効とは、売買契約自体を最初から存在しなかったものにするということです。
つまり、売買そのものが発生しなかった状態に戻すということですから、代金の返金義務を詐欺師は負うことになります。
原状回復とも呼びますが、正当な理由も無くこれに応じないという事は相手には詐欺の意思が明確に存在したということの裏返しであるとの証明材料の1つにもなります。
返金請求などを行う際にはこの部分を強調し、証拠資料と合わせてどんどん詐欺師に圧力をかけることをお勧めします。
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